ビットコインやイーサリアムといった代表的な仮想通貨も上昇するでしょう。ただしかつて1500種類以上の仮想通貨が価値を持った仮想通貨ブームのようなことにはならず、ここにも三極化の構図が働き、上昇するのは上位数銘柄に留まると思います。
株価は、金融市場が揺らげば一定程度の混乱はありそうですし、とりわけ基軸通貨ドルの信頼が損なわれれば金融市場全般におけるドル不足が生じ、資金繰りのためにやむを得ず株などを売って手当てするといったことも起きそうですが、それはあくまで一時的な現象でしょう。
これは何も株に限ったことではなく、資産市場全体の話です。現金や預金と並んで、有価証券(株式・債券・投資信託)などは「ペーパーアセット(Paper Asset)」、つまり「紙の資産」であり、それ自体が価値を持たないとされますが、有価証券のうち株式は、いわば「企業の区分所有権」みたいなもので、不動産で言えばマンションのようなものと位置づけるのが正しく、ゴールドや不動産などの「ハードアセット(Hard Asset)」の分野と見ていいと思います。
金融市場がどのようになっても、やがて新システムの下、形を変え価値観を変えて経済活動は続くわけで、企業がこの世からなくなるというわけではありません。ただしここでも例外なく三極化の構図が働き、株価も「価値維持ないしは上昇」「だらだら下落」「無価値あるいはマイナス価値」のコントラストが明白になるということです。
「金融リセット後は資産の意味が希薄化する・なくなる」といった意見も見られますが、おそらくそうはならないでしょう。なぜなら今回の大変革では「所有権がなくなる」といったことにはならないと思うからです。
「所有権って、よくよく考えるとおかしいよね」とか「所有権が富の偏在を促す悪の根源だ」といった意見も見かけますし、私もその主張には基本的に同意を示したいのですが、所有権が完全になくなる世の中になるのは、おそらくまだずいぶん先のことになるだろうと思います。人類の意識はまだそこまで進化していないと考えられるからです。
現段階で所有権をなくしてしまうと「奪い合い」が起きるのではないでしょうか。仏教で言う「餓鬼」のような世界観で、要はまだ物心共に満たされていない人が世界にはたくさんいるということです。