【2】不動産価格そのものが上昇すると見込める
想定賃料には関係なく「何らかの理由」で不動産価格の上昇が見込めるなど。
こうした見立ては、平常時にはそれなりのロジックを組み立てて取引に臨むものですが、市場がバブル期に入ると、それは平常時ではありませんので、カンタンに「論理の飛躍」が起きます。要は「上がるから上がる」とでもいうような、理屈にならない理屈。
したがって「高値で買う理由は何でもいいので、とにかく買ってしまおう。そのためのロジックはこじつけよう」とでもいうような投資行動が行われます。これが1990年バブルやリーマン・ショック前のプチバブル期に発生した投資行動です。
マイホーム市場においては、都心部で価格上昇が著しく買えないとなると、外へ外へ、つまり都市郊外へその食指が伸びるのが常です。1990年バブル期、首都圏で言えば都心部や東京23区でマイホーム購入は夢のまた夢で、神奈川県・埼玉県・千葉県など都市郊外の、それも主要駅ではないところで、あるいは徒歩圏外における売買が主流でした。バブル後期にはさらに遠く、新幹線による通勤を前提として静岡県、または栃木県・群馬県などでマイホーム購入といった動きも多く見られました。
ただし今回、前述のような1990年型のバブルが発生するとしても、かつてのような広がりは到底発生しそうにありません。当時と現在とでは、マイホーム購入ボリューム層の人口が決定的に異なり、バブル当時の半分程度しかいないからです。
特に2020年コロナ禍の緊急事態宣言明け以降、価格が上がりすぎた東京都心部や23区を嫌って、神奈川・埼玉・千葉県へと食指が伸びる傾向は発生したものの、その需要は2023年中盤には一巡しています。今後一段のバブルが発生した場合でも、都市郊外への波及は、利便性の高い地域を除いてほとんどないか、あったとしても限定的でしょう。