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為替トレンドが円高反転なら“1990年代型のバブル”発生で「想定外」の株高・資産高へ向かう可能性 不動産価格は論理の飛躍で「上がるから上がる」状況も

 一方で都心部マンションなどは、マイホーム購入層とは別の「富裕層」「国内外投資家」の需要が見込めます。富裕層は住宅ローンを組まず現金買いがほとんどで、金利上昇の影響を受けません。また利回りよりも「資産のポートフォリオ」を重視します。現金や株式、債券、不動産などあらゆる資産の中でバランスを取るということです。不動産の価格が上昇すると見込めるかどうかというより、価値保全を目的とするケースが多くなります。

 そうなるとその食指はおおむね都心部に限定され、さらに立地重視ですから、物件種別で言えばマンションが主流です。相続税対策として考えた場合でも、日本の税制を考慮すると都心部マンションが圧倒的に有利です。国内外投資家も同様で、基本的に都市郊外での投資行動は行わず、立地重視で都心部のマンションがメインとなります。

 こうした向きは、東京都心部が割高だと判断すると、次は都市郊外へ向かうのではなく「名古屋圏」「大阪圏」「広島圏」「福岡圏」「仙台圏」「札幌圏」といった大都市へ向かいますが、その傾向はすでに関西圏、福岡圏などで顕著になっています。

※長嶋修・著『グレートリセット後の世界をどう生きるか』(小学館新書)より、一部抜粋して再構成

【プロフィール】
長嶋修(ながしま・おさむ)/1967年東京都生まれ。不動産コンサルタント。さくら事務所会長。NPO法人日本ホームインスペクターズ協会初代理事長。国交省・経産省の様々な委員を歴任。YouTubeチャンネル『長嶋修の日本と世界の未来を読む』では不動産だけではなく、国内外の政治、経済、金融、歴史などについても解説。広範な知識と深い洞察に基づいた的確な見立てが注目を集めている。マスコミ掲載やテレビ出演、講演等実績多数。著作に『不動産格差』(日経新聞出版)、『バブル再び~日経平均株価が4万円を超える日』(小学館新書)など。最新刊は『グレートリセット後の世界をどう生きるか~激変する金融、不動産市場』(小学館新書)。

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