そこで何が起きたのか。
「彼の上司の大臣は元大蔵官僚の藤井裕久氏。“財務省色に染め上げろ”という藤井氏の号令の下、財務官僚たちは野田氏を取り囲み、レク攻めにあった野田氏はすっかり変わってしまったんです」
政権交代前の野田氏ら民主党は「マニフェストに書いてあることを実現する」と主張していた。しかし政権を取ると方向を転換し、公約のどこにも書いていない増税を次々と実現させたのだ。
「現在は2012年と構図が似ている」
不穏なことに高橋氏は、「現在は2012年と構図が似ている」とも読み解いた。
「消費増税を決めた当時を振り返ると、ベースとなった合意を結んだ与野党トップは、野田首相と野党だった自民党の総裁で財務相経験者の谷垣禎一氏だった。
当時と符合するように今回、野党第一党のトップが野田氏になったことに財務省は“しめた”と感じているはず。自民党新総裁と増税の合意を結ばせるよう、野田氏をけしかけていくに違いない。仮に次の選挙で政権交代となっても、財務省は野田政権の下で“消費税率15%は確定して、その先も狙える”と、ほくそ笑むことでしょう」
与党が勝っても野党が勝っても、笑うのは財務省だというのだ。
野田氏の党首選の公約には増税の2文字はどこにもないが、「選挙に不利になるから今はステルスですよ。でも来年夏の参院選後、増税の議論を持ち出すのではないかと懸念している」という。
国民不在の与野党対決という構図が、生まれつつある。
※週刊ポスト2024年10月11日号