全世帯で医療費負担増の流れが鮮明に
だが、問題は高齢者に限った話ではない。4月には国民健康保険の年間保険料の上限が2万円引き上げられた。10月からは特許が切れた先発薬1095品目の窓口負担増も始まる。後発薬(ジェネリック薬)との価格差の4分の1を保険適用外とし、患者の負担に上乗せするのだ。
厚労省の統計によれば、国民一人当たりの年間医療費負担額は過去20年(2003~2023年)で24万7100円から38万円と約1.5倍に上昇。全世帯で医療費負担増の流れが鮮明になるなか、室井氏はこう話す。
「健保連(健康保険組合連合会)は今年7月、2026年度の制度改正に向け、高額療養費制度の見直しを国に求める方針を示しました。2018年の改正に続き、再び高額療養費制度の自己負担限度額が引き上げられる可能性が高まっています。その場合、特に、手術や入院などで高額な医療費を支払うケースでは、ひと月当たりの自己負担額が数万円単位で増えることが考えられます。
ただし、受診時の少しの工夫で出費を抑えることはまだ十分に可能です。これからは医者任せにせず、患者一人ひとりが医療費の仕組みを理解し、負担減に繋がる制度を活用し尽くすことが重要になってきます」
※週刊ポスト2024年10月11日号