記録ずくめのシーズンだったロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平(30)。2年連続本塁打王と初の打点王の2冠に輝いたほか、得点、塁打数、出塁率、長打率、OPS、長打数、ISO、本塁打率と10部門でトップに。日本人メジャーリーガーが持つ記録も次々と塗り替え、イチロー氏(50)のシーズン56盗塁と127得点、松井秀喜氏(50)のシーズン116打点、メジャー通算本塁打175本も抜いた。本塁打と盗塁の50‐50、本塁打と盗塁の同時記録16試合はメジャー史上初であり、日本人初のトリプルスリーも達成した。
まさに歴史的なシーズンであったという評価は衆目の一致するところだ。メジャーリーグに詳しいジャーナリスト・友成那智氏が言う。
「2年連続3回目のMVPは確実です。過去にDH(指名打者)の選手が獲得した例が一度もないと指摘され、今回のライバルであるメッツのリンドーアが打てない試合でも守備で勝利に貢献していたことが引き合いに出されますが、大谷はチーム貢献度を表わすWARではリーグトップで、2位のリンドーアに大きく水をあけている。盗塁の成功率が高いことがWARの数値に影響した結果で、大谷のMVPに何の支障もない」
経済効果の予想値は「上方修正」へ
数々の記録を打ち立て、存在感が高まる大谷。その経済効果の大きさにも改めて注目が集まっている。様々な事象の経済効果の算出で知られる関西大学名誉教授の宮本勝浩氏は、今年5月に『2024年ドジャースにおける大谷翔平選手の経済効果』の予想値を試算して約865億1999万円としていたが、打撃2冠を達成してMVPも確実視され、自身初のポストシーズンの出場を控えるなかで、経済効果の予想値は更新を迫られていると。現在、まさに試算の真っ直中だという宮本氏が話す。
「大谷選手の活躍で経済効果の予想値は上方修正となる見込みです。ただ、大谷選手の年俸などがドル建てというなか、先の予想値を発表した5月に比べて、現在は大幅な円高になっている要素がある。5月は1ドル155円だった相場は143~144円で推移しており、5か月弱で10%近い円高になっている。結果、ドル建てでの経済効果は予想値を大幅に上回りそうですが、日本円の額としては前回予想の約865億円という予想値を大きく外さない範囲となると見ています」
それはつまり、為替の変動によって円ベースでの推移だとわかりにくいが、経済面での大谷の存在感はますます増しているということだ。宮本氏が続ける。
「大谷選手の場合、出演するコマーシャルによる経済効果が大きいでしょうね。ドジャースの動員観客数は予想と大きく変わらないので、地元・LAへの経済効果はまだ限定的と考えられるものの、コマーシャルの契約で企業にもたらされるプラスの経済効果は予想を上回る水準となっている」