戦後の第1次ベビーブームに生まれた約700万人の巨大集団「団塊世代」(1947年~1949年生まれ)が、いよいよ今年から順次70代に突入していく。彼らは高度経済成長の原動力と評価される一方、その有り余るマンパワーから「日本の不良債権」「日本衰退の戦犯」などと揶揄されてきた。
団塊世代が他の世代から嫌われる理由は、「人数で幅を利かせ、高度経済成長に乗っておいしい思いをしてきた挙げ句、バブル崩壊以降の負の遺産を下の世代に押し付けている」ということだろう。いわゆる「団塊逃げ切り批判」だ。
団塊世代にとっては、耳にタコができるほど聞かされてきた“悪口”だ。しかし、本当にそうだろうか。むしろ「一番損をしているのは団塊世代である」というデータがある。
まず、今年から70歳以上では、医療費の自己負担の上限額が大幅にアップする。経済ジャーナリストの荻原博子氏が解説する。
「『高額療養費制度』が改正され、高額療養費の自己負担の上限額がこの8月から引き上げられます。これは団塊世代が70歳になる直前に間に合わせるように法改正を行なったと見られています」
高額療養費制度とは、医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額を超える分は負担が不要になる制度である。