70歳以上で年収370万円未満の場合、外来診療の上限額が今年8月には月1万2000円から月1万4000円になり、さらに来年8月には月1万8000円にまで引き上げられる(6000円増)。
入院と外来を合わせた医療費の負担は、今年8月に月4万4400円から月5万7600円にまで引き上げられる(1万3200円増)。年収が370万円以上の場合はさらに負担が増す。
前出の荻原氏は、「2008年に導入された『後期高齢者医療制度』も、団塊世代が65歳以上、70歳になるまでに間に合わせるように行なわれた制度改正だった」という。
この制度によって、70歳以上でも医療費の自己負担率は、現役並みの所得のある人は3割負担となり、一般の70歳以上も2割負担になった。特例措置で2014年まで1割で据え置きになったが、それも団塊世代が適用範囲に入るまでと考えれば合点がいく。
あの手この手で年金減
政府は団塊世代を狙い撃ちするため、周到に準備してきたということだ。団塊世代狙い撃ちは、年金政策にも露骨に現われている。
今の年金財政がすでに赤字(積み立て不足)であるにせよ、高度成長期に団塊世代が貯めた「積立金」があったからこそ、これまで維持できてきた。またこの世代の保険料納付率は極めて高い。