預貯金の場合は被相続人の死亡時の残高証明書を銀行で発行してもらう。証券は、過去3か月の最も安い終値を出して評価額を算出するなど預貯金よりも複雑になる。
厄介なのが不動産価格の評価だ。
一般的に相続税の申告では「路線価」を、登記や不動産名義変更では「固定資産評価額」と評価額の算出方法を使い分けるために間違えやすい。
東京国際司法書士事務所代表でこれまで相続や借金に関して1万人以上の相談を受けてきた司法書士の鈴木敏弘氏が言う。
「『相続税の計算では路線価』と覚えましょう。路線価は毎年7月1日に国税庁のホームページで公開されるので、それを参考にするのが手っ取り早いです」
相続税申告は専門知識が求められるので、「自分で頑張りすぎない」ことが重要だと鈴木氏は言う。
「身も蓋もない言い方になりますが、税理士に全部任せてしまうのが望ましい。特に不動産価格の評価は自分でやろうとすると、時間と手間ばかりかかり、間違いも多いです」
餅は餅屋に──そんな考えが最短相続には必要だ。
※週刊ポスト2024年10月18・25日号