夫婦どちらかが先に逝った時、遺された側がまず直面するのが押し寄せる「死後の手続き」である。なかでも相続で揉めるケースは少なくない。だからこそ、元気なうちに夫婦の間で話し合いをして、できる準備はしておいたほうがいい。
■【一気読み・保存版】死後の手続きカレンダー 死後1週間以内、1か月以内にやるべき手続きから、揉めない相続の手順まで
夫婦で書き合う「たすき掛け遺言書」でトラブル回避
相続を見据えて夫婦で確実に済ませておきたいのが「財産目録」の作成だ。司法書士行政書士MY法務事務所代表で司法書士の村田洋介氏が言う。
「配偶者の所有財産を把握していないと死後に困るので、まずは夫婦で財産を洗い出しましょう。財産目録の作成では、預貯金や保険、不動産などプラスの財産に加えて、ローンや借金など『マイナスの財産』もすべて書き出すのがポイント。ネット銀行やネット証券口座などのIDやパスワードも紙に書き、いつでもわかるようにしておくのが重要です」
財産目録の作成後、相続で揉めないように遺言書を作成する。その際、夫婦がそれぞれ配偶者に遺言書を書き合う「たすき掛け遺言」にすると便利だ。
「たすき掛け遺言にしておけば、夫婦のどちらかが急に亡くなっても、法定相続人とのトラブルを回避できます」(同前)
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