高騰するスポーツ中継の放映権料
ボクシングだけでなくスポーツ中継の放映権料は年々高騰している。
「五輪やサッカーW杯といった大イベントは、NHKと民放がJC(ジャパンコンソーシアム)を結成して放映権料を分担してきました。しかし、2022年のサッカーW杯カタール大会では放映権料高騰のため日テレ、TBS、テレ東がJCを抜けて大会中継から撤退し、代わりにABEMAが全試合を生中継した。中継の主役が地上波から配信に完全に移った大会でした。
五輪については、地上波にとって“新しいタレント”を発掘する場でもある。大会後にバラエティなどで活躍する選手が出てきた時に五輪での映像を使いたいといった理由から、当面は撤退するテレビ局は出ないでしょう。今夏のパリ五輪では民放公式テレビ配信サービス『TVer』での配信も始めた。ただ、TVerは無料配信のため直接の儲けにつながらない。今後、五輪中継がどのようなかたちになっていくか、見通せない部分も大きい」(鈴木氏)
すでにJリーグは2017年から放映権契約をスポーツ専門の動画配信サービスDAZNと結び、日本の視聴者もテレビから配信でのスポーツ観戦へ移行が進んでいる。
スポーツに弱かったネットフリックスも、固定ファン獲得のため中継に力を入れ始めている。今年1月、米プロレス団体WWEとライブイベントで初の長期契約となる10年総額50億ドル(約7400億円)の巨大契約を結んだ。日本のスポーツ中継にも“侵食”する可能性はある。ネットフリックスを中心とする配信の動きは、ドラマからスポーツまで、あらゆるコンテンツのあり方を大きく変える可能性を孕んでいる。
※週刊ポスト2024年11月1日号