年3回程度の利上げではドル高に進むパワーは不足
昨年来の為替相場を振り返ると、11月のアメリカ大統領選直後の強烈な円安ドル高相場は、大きなサプライズだった。当時、大統領に就任するまで2か月以上もあったというのに、市場は期待ばかりをどんどん膨らませて米ドルを買い続けた。
ところが、年が明けると雲行きが変わってきた。少しずつ現実があらわになり、新大統領への期待が剥落してきたからだ。
そもそも、トランプ大統領の政策は必ずしもドル高につながるものではない。目玉であるインフラ投資や減税はドル高要因ではあるが、為替に関してはアメリカの産業に打撃となる自国通貨高を放置するとは考えにくい。
むしろゆるやかなドル安に誘導し、円など他国通貨が安くなってくればそのたびに得意のトランプ節で牽制してくるだろう。
もちろん、FRB(連邦準備制度理事会)による利上げはドル高要因ではあるが、市場が予想する3回程度の利上げ程度ではパワー不足だ。ドル高効果が出てくるにしても、年末近くまで時間がかかるだろう。
結論としては、当面の米ドル/円相場は上値が重い展開が続くというのが羊飼いの相場観だ。1月の高値である118円台を超えてくるのは困難で、この水準で上値を抑えられる展開が続きそうだ。
当面のレンジとしては、108円から117円程度の間で推移するのではないだろうか。相場は時に行き過ぎるのでこのレンジを突破することもあるだろうが、一時的な値動きに過ぎないだろう。