下落相場の反発を狙ったロング戦略とは?
羊飼いがこうした考えに傾いたのは、2月3日に発表された1月の米雇用統計直後の為替の値動きが大きく影響している。非農業部門雇用者数は大きく改善したのだが、失業率は悪化しており、良くも悪くもとれる内容だった。
相場というのは「行きたい方向」を持っているもので、その方向に走りだすきっかけを待っている。強気と弱気、いずれにも解釈できる経済指標の結果は、その方向を判断するのに最適な指標だ。
このときは、瞬間的な上昇は見せたもののすぐに下落に転じ、発表前から続いていたドル売りの流れを継続させただけだった。
じりじり下がる相場は、投資家にとっては最も手がけにくい相場だ。トランプ政権の1年目は難しい相場になりそうだが、策がないわけではない。羊飼いはこうした局面では、スキャルピング(※わずかな利幅を狙って短時間で売買を繰り返す取引手法)で下落相場の反発を狙ったロング戦略をとることが多い。
下落が始まったとき、投資家はこの後さらに下を目指すか、あるいは反発に賭けるか、という判断に迫られる。大局的にはさらに下落したとしても、スキャルピングのような数分単位の動きで見れば、いったんはわずかに反発する可能性のほうが高い。
下落相場で一定の値幅が出れば必ず利益確定の買い戻しが入るものであり、わずかな反発をはさみながら下落していくのが一般的だからだ。
下落相場でトレンドに逆行する買いポジションを取るのは危険であり、素直にショートするべきだと考える人もいるだろう。もちろん、それも正解だ。羊飼いも、スキャルピングで反発を狙ったロングを繰り返しながらも、下落が再開したら売りで入り直すことは多い。それでも、儲けやすいのはこの小さな反発狙いの取引だと感じている。