金融政策以上に政治に振らされることも
トレンドの方向に自信があったとしても、17年相場の振れ幅は上下ともに相当大きくなりそうなので、資金管理とロスカットはいつも以上に慎重にしたい。
16年まではアメリカやEU、日本など各国の中央銀行が主導する金融政策が為替相場の一大テーマとして相場を動かしてきたが、「トランプ相場」以降は金融政策への反応が鈍くなっている。
各国政治の影響力が増しており、時には金融政策以上に為替相場を動かすこともあるだろう。周知の通り、トランプ大統領は減税やインフラ投資を公約とする一方で自由貿易を阻もうとするなど、経済に与える影響が矛盾する政策を打ち出しており、市場は上にも下にも振らされやすい。
為替に関してもドル安を志向しながらも、自国の強さを誇示するためのドル高誘導発言が飛び出すこともあるかもしれない。さらに17年はフランスの大統領選と国民議会選挙、ドイツでも連邦議会選挙が行なわれる。
EUを主導する2国の選挙結果やイギリスのEU離脱に向けた動きも、相場を大きく動かす要因になりそうだ。
通貨ペアはやはり米ドル/円が手がけやすいが、時期によって注目が集まる通貨は異なる。わかりやすいトレンドが発生している通貨ペアに臨機応変に乗り換えるのもいいだろう。
欧州選挙の時期ならユーロ、イギリスのEU離脱に向けた動きが出たときにはポンド、これまで値動きに乏しかった豪ドルもアメリカの利上げに敏感に反応するのでこれからはトレンドが出てくるかもしれない。
難しい相場にあえて無理をして挑む必要はないが、投資スタイルや戦略を変えてみるという手もある。相場の変化に柔軟に対応できるかどうかが、トランプ相場を生き抜く鍵になってくるのかもしれない。
※マネーポスト2017年春号