セ・リーグ3位のDeNAがパ・リーグ1位のソフトバンクを破り、日本一に輝いた2024年のプロ野球。今季を振り返り、「年俸が高い割に活躍しなかった選手」「年俸が安い割に活躍した選手」を検証してみる。
前編では投手の「1イニングあたりの年俸」を紹介したが、今回は「1安打あたりの年俸」を算出。プロ野球を各種データから分析した『データ・ボール』などの著書があるライター・広尾晃氏協力のもと、各選手の年俸と成績から、打者の“コストパフォーマンス”を弾き出した。【前後編の後編・野手編】
球団が金満経営だとコスパは悪化する
投手編に続いて打者編では「1安打あたりの年俸」を計算した。ワーストランキングで目立つのは、やはりベテラン勢だ。日本シリーズを競った両チームでは、シーズン中はケガが響いたソフトバンク・柳田悠岐(36)がヒット1本あたり1075万円、シーズン中にメジャーから復帰したDeNA・筒香嘉智(32)が同1071万円で22位と23位となった。
「柳田の年俸5億7000万円は“ソフトバンク価格”。どんなに金がかかっても有名選手を抱える球団の金満経営だとコスパは悪化します。日本シリーズで復調した筒香もシーズン中を見ると寂しい数字です」(以下、「 」内は広尾氏)
年俸3億円の中日・中田翔(35)や年俸6億円の巨人・坂本勇人(35)もヒット1本に600万円以上の値段がつき、今後の去就が注目される。そしてワースト1位は巨人・梶谷隆幸(36)。
「2020年オフにFAでDeNAから移籍した途端にケガをした。4年契約(年俸2億円)の最終年の今季も6試合出場で3安打。1本のヒットが6667万円の計算になる。今オフに引退を発表しました」
ワースト10には梶谷同様、今季で引退や退団となる選手が目立つ。2位の中日・ビシエド(35)、3位の阪神・ミエセス(29)、4位のオリックス・T-岡田(36)、6位の広島・シャイナー(29)らがそうで、いずれもヒット1本あたり3000万円以上の水準だ。
「1安打あたりの年俸が大幅に高いと辞め時が迫っていると言えます。中日に9年間在籍したビシエドは立浪和義監督と反りが合わず、日本人選手扱いなのに今季一軍では15試合の出場のみでした」