横綱・照ノ富士が初日から休場となった秋場所で注目を一身に集めるのが、大関昇進へと突き進む関脇・大の里だ。今年1月に新入幕を果たしたばかりの24歳は、角界に受け継がれる格言である「土俵にはカネが埋まっている」を体現していた。
琴櫻、豊昇龍の両大関が序盤から星を落とすなか、優勝争いを引っ張る大の里。土付かずで勝ち越しを決め、中日での“給金直し”となった。
「大の里は今場所12勝以上で大関昇進の目安となる『三役で3場所33勝以上』をクリアする。昨年5月に幕下10枚目格付出でデビューし、今年1月に新入幕を果たしたばかりだが、まさに破竹の勢いです」(担当記者)
そんな大の里は「収入」も大きく伸ばしている。勝ち越しが“給金直し”と呼ばれるのは、それにより月給とは別に本場所ごとに支給される「力士褒賞金(持ち給金)」がアップするからだ。大相撲の世界では、勝ち星を重ねるほどに収入が増える。概ね上位ほど収入が高いが、そのまま番付順というわけでもない。そこには、独特の報酬システムがある。
そもそもこの世界では、幕下以下の力士に給料がない。本場所ごとに10万円前後の場所手当(各段で異なる)と奨励金があるだけ。所属部屋で衣食住の面倒を見てもらえるゆえの仕組みであり、大の里も幕下力士だった昨年の5月場所、7月場所は「給料ゼロ」だった。
関取になって初めて給料が発生。月給は十両で110万円、平幕140万円、小結・関脇180万円、大関250万円、横綱300万円となる。十両以上か幕下以下かで天と地の差があるのだ。大の里の月給は1年ちょっと前のゼロから、今場所は180万円に達した。
加えて、月給とは別に各力士の収入を大きく左右するのが、積み重ねた成績に応じて本場所ごとに支給される「力士褒賞金(持ち給金)」なのだ。