しかし、この事態を利用できる方法があります。上司の退職金の額が規定以上なら、会社には人件費に充てられる余裕資金があることになり、支給規定の見直しを経営者に要求する根拠にできます。
他にも、退職金の受け取りを憤るほどのパワハラやセクハラを当該上司から受けた従業員がいるのであれば、相当悪質なパワハラ等がされたのだと推測できます。
ハラスメント行為は、不法行為になる場合があり、そこで当該上司に対し、ハラスメントで受けた精神的苦痛に基づく慰謝料請求を行なうのも考えられます。
結果、多くの被害者がいれば、金額は大きくなりますし、協力して退職金の相当部分を召しあげることも検討の価値があります。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2024年11月22日号