今年の日本シリーズではパ・リーグをぶっちぎりで制したソフトバンクがまさかの敗北を喫した。セ・リーグ3位からCSを勝ち上がったDeNAが下剋上で日本一に輝いたが、年俸で比較するとソフトバンクが平均6806万円で12球団トップなのに対し、DeNAは6位で4456万円という水準だった。両球団の“コストパフォーマンス”には大きな違いがあったようだ。
プロ野球を各種データから分析した『データ・ボール』などの著書があるライター・広尾晃氏協力のもと、12球団で今季一軍登板のあった投手348人、一軍出場のあった野手319人のデータを解析。各選手の年俸(推定額、以下同)と成績から“コスパ”を算出していくと、DeNAとソフトバンク両チームの主力の働きの違いが浮き彫りとなった。
登板1イニングあたりの年俸には倍近い差が
今回は広尾氏の協力で、12球団の投手について「シーズン登板1イニングあたりの年俸」を計算してランキング化した。そのうち、日本シリーズに出場した2チームの投手について見ていこう。
まず、先発投手についてはどうか。ソフトバンクは5人が先発のマウンドに上がっている。有原航平(32)、モイネロ(28)、スチュワート(25)、石川柊太(32)、大関友久(26)の5人だが、メジャーからの帰国組のため高額年俸となる有原の5億円とモイネロの3億円が影響して平均年俸は2億1700万円という水準に達した。
DeNAはジャクソン(28)、大貫晋一(30)、東克樹(28)、ケイ(29)の4人で、平均年俸は1億1075万円。両チームの間には1億円の差がある。また、シーズン中の「登板1イニングあたりの年俸」ではソフトバンクの先発陣が平均156.8万円となるのに対し、DeNA先発陣は同82.7万円とコスパは倍近くよかった。広尾氏が解説する。
「ソフトバンクのコスパを悪くしたのは年俸5億円の有原で、1イニングあたり273.7万円はワースト91位でした。年俸1億2000万円の石川が189.5万円でワースト125位、3億円のモイネロは184万円でワースト129位。
一方のDeNAは年俸1億4500万円で8勝7敗だったジャクソンが1イニングあたり101.4万円で188位だったのが目立つくらいで、大貫、東、ケイは1イニングあたり100万円を大きく下回る。特に年俸1億500万円で13勝4敗の成績だった東は同57.4万円(ワースト256位)で、12球団の億超えの投手のなかでコスパが最もよかった」