対等な関係性じゃないと成立しない
小売店従業員のBさん(29歳/女性)は、「対等な関係性じゃないと無理」と持論を述べる。
「たとえば学生時代、友人に『昼ご飯を奢るから、バイトのシフトを代わってくれないか』と打診されたり、私も『ビール一杯奢るから、レポートを提出してきてほしい』とお願いしたりするなど、先に“条件”として飲食を提示したやり取りはあったように思います。ただ、それが成立したのは、相手と対等な関係だったからこそかもしれません」(Bさん)
そんなBさんが警戒するのは、「異性」の場合だという。
「20代前半でキャバ嬢をしていた頃、年上男性のお客さんたちから『いつもよくしてくれるから、こんど仕事終わりにお礼のご飯でも』というお誘いが頻繁にありました。数万円のコースとか高級焼き肉みたいなお店を提案されることもありましたが、それに行ってしまうと、その後の要求がエスカレートしそうなので、断ることが多かったです。
お店のお客さんという相手でなくても、対等な関係でない限り、相手は“お礼”という口実をつくって、自分のテリトリーに呼び込もうとする魂胆なのかと勘ぐってしまいます」(Bさん)
年上女性からの怒涛のLINEに恐怖
年上異性からの「お礼にご飯」を警戒するのは、女性ばかりではない。ゲーム制作会社に勤務するCさん(23歳/男性)は、「そういう場合の『ご飯』が、相手に“恩”を着せるツールになっていたり、“釣り餌”になっていたりすることは否めないと思う」と言う。Cさんがそう思うのは、自身の苦い経験に起因する。
「昔、バイト先の女性の先輩に『お礼にご飯でも』と執拗に誘われたことがあるのですが、1回行くと“その気”になられてしまいそうで、必死で逃げたことがあります。
当時、バイトの休憩時間にその先輩の恋愛相談によく乗っていたんです。先輩には同い年の彼氏がいて、最初はのろけ話だったのですが、いつからか愚痴が多くなり、僕に対して『○○くんは優しくていいと思っている』と薄々“好き”オーラを感じるようになりました。不穏だなと思っていたら、突然『彼と別れようと思っている』と言い出して……。
その後ついに彼氏と別れたという報告を受けた際、『恋愛相談のお礼に、今度ご飯でも』というLINEが怒涛のように届くようになりました。ご飯は行きたくないので、『じゃあスナック菓子でも買ってください』といなそうとしましたが、『それじゃこちらの気が済まない』と不服そうでしたね。ただし一度でも“釣り餌”に引っかかったら、後々どんな恩着せがましいことを求められるかわからない。全力で逃げました」(Cさん)