11月5日、ヤマトHDが発表した2024年度上期の連結決算は、売上高(営業収益)が前年同期比3%減の8404億円、営業損益は150億円の赤字に転落。2025年3月期の通期予想も見直され、営業収益、営業利益ともに4期連続で下方修正した。
栗栖利蔵副社長は会見で「お客さんとの交渉で単価アップが見込めず、収益が追いつかなかった」と発言したが、ヤマトの収益を左右する最大の顧客がネット通販大手のアマゾンジャパンだ。
「年間7億個超といわれるアマゾンの商品の約4割は外部業者によって届けられており、その大半はヤマトが担っているとされる。3億個前後だから、ヤマトが取り扱う年間約18億個の2割弱になる」(経済紙記者)
そうした背景を踏まえて、刈屋氏はこう言う。
「アマゾンをはじめとする大口法人顧客との契約運賃の値上げ交渉が思うように進んでいないことが、業績悪化の原因になっていると考えられます。交渉がまとまらなかった場合、繁忙期となる年末の就労条件の悪化を招くことになれば、年明け以降の離職者増加にもつながりかねません」
残業規制を中心とする物流の「2024年問題」の影響もあり、宅配業界はドライバー不足が深刻な状況だ。年末年始に向けて刈屋氏は「宅配クライシスの再来も大いにあり得る」と警鐘を鳴らす。
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