セは中日、パは日本ハムに「お買い得」が多い理由
2つの「ベストナイン」に重複して入ったメンバーについて、広尾氏はこう言う。
「DeNAの山本祐大はBCリーグ経由でプロ入り7年目。昨年、東克樹と組んでバッテリー賞に輝いたことで覚醒。今シーズンは年俸2300万円ながら108試合に出場し、104安打、打率.291。終盤に右腕を骨折して規定打席到達とならなかったが、正捕手として3年連続Aクラス入りに導いた。
細川成也はDeNAでものにならなかったのを中日が現役ドラフト獲得。昨年は990万円の年俸でチーム最多の24本塁打を放った。今年は年俸4500万円に上がったが、156安打、打率.292で、12球団の4番でナンバー1の“お買い得”に。貧打の中日で使い続けてもらえたのも大きい」(広尾氏)
「お買い得ベストナイン」の面々を見ると、セ・リーグは中日、パ・リーグは日本ハムの選手が目立つ。
「選ばれなかったメンバーでも特筆したいのは1安打あたり6万円で今季、最も“お買い得”だった日本ハムの水谷瞬(年俸560万円)。97試合出場で“お買い得ベストナイン”には入らなかったが、現役ドラフトでソフトバンクから移籍したプロ5年目。一軍未出場ながら新庄剛志監督がほれ込んで指名した選手です。
捕手の田宮裕涼も新庄監督が見出した選手。プロ6年目ですが、昨年のシーズン終盤に一軍へ昇格すると、プロ初本塁打を放った。年俸700万円ながら85安打、打率.277の数字を残している。年俸950万円の水野達稀も複数ポジションできる守りで新庄監督の信頼を得て、9番で勝負強さを発揮した。新庄監督は自分がほれ込むとブランド関係なく使い続ける。今年2位に入った日本ハムの成績は新庄監督の慧眼が出ている」(広尾氏)
セの投手で「お買い得ベストナイン」に入った巨人の井上温大は、11月27日の契約更改で今季の年俸670万円から約5倍増となる年俸3400万円でサインした。本家のベストナインのみならず、安い年俸でもチームに大きく貢献した選手に、もっと光が当たってもいいのかもしれない。