「看板」が多すぎて「屋上屋」
そもそも、この手の「担当大臣」の存在意義自体が私には皆目わからない。 総理大臣を除く国務大臣の数は、内閣法で「定員14人・上限17人」と定められている(特別法によって増員が可能)。この人数の中で内閣府に「特命担当大臣」、内閣官房に「担当大臣」が置かれ、各国務大臣が兼務している。
内閣府の「特命担当大臣」は、複数の省庁にまたがる長期的な重要課題に対応し、「防災」「沖縄及び北方対策」「金融」「消費者及び食品安全」「少子化対策」の5つは必置で、他に「原子力損害賠償」「廃炉等支援機構」「原子力防災」「規制改革」「海洋政策」「こども政策」「若者活躍」「男女共同参画」「共生・共助」「経済財政政策」「クールジャパン戦略」「知的財産戦略」「科学技術政策」「宇宙政策」「地方創生」「アイヌ施策」などが置かれている。
内閣官房の「担当大臣」は、緊急対応すべき政策ごとに首相の判断で任命できる。石破内閣で設置されているのは「デフレ脱却」「経済再生」「新しい資本主義」「賃金向上」「スタートアップ」「原子力経済被害」「福島原発事故再生総括」「GX実行推進」「産業競争力」「経済安全保障」「サイバー安全保障」「新しい地方経済・生活環境創生」「国際博覧会」「国際園芸博覧会」「水循環政策」「国土強靭化」「防災庁設置準備」「領土問題」「沖縄基地負担軽減」「拉致問題」「行政改革」「国家公務員制度」「女性活躍」「共生社会」「全世代型社会保障改革」「感染症危機管理」などである。
この多すぎる看板を各大臣に割り振っているから、担当大臣の所管範囲が不分明になっている。たとえば、財務大臣は金融(特命担当)とデフレ脱却担当を、経産大臣は産業競争力担当を、デジタル大臣はサイバー安全保障担当を兼務しているが、もとより各大臣はそれらの業務も所管しているはずであり、屋上屋を架している。