この間に上昇の目立つセクターを挙げると、セメント、鉄鋼、鉱業・非鉄金属、紙、建設機械、自動車、電子部品、海運などである。
上昇要因について考えてみると、政策やマクロ経済の動きが大きく影響している。
昨年は十三五計画(第13次5か年計画。2016~2020年)の初年度であり、政策のメリハリが効いた年であった。生産過剰産業の生産が制限され、遅れた設備の淘汰が進んだ。当局の監督管理が強化され、それらが徹底されたことで、今年の夏以降、エネルギー、素材の需給が改善された。一方で、景気は底堅く、需要がしっかりしていたことから、価格は敏感に反応した。セメント、鉄鋼の上昇はこうした点が要因であり、海運については加えてグローバルで原油価格が底打ちしたことが要因である。
紙については国務院による遅れた設備の淘汰が需給改善につながったからであり、供給側改革関連と同じ原理であるが、淘汰は生産過剰というよりも、環境悪化が原因である。つまり、環境対策の強化が紙セクターの上昇要因である。
建設機械についてはインフラ投資加速が要因であり、自動車については優遇政策の延長、各社の積極的な新車投入、SUVを中心に予想以上に需要が強いことなどが要因である。電子部品については、中国を中心に世界中でモバイルインターネット革命が進展、スマホが量的に拡大、質的に向上している。
今後はどのようなセクターが上昇しそうだろうか?
昨年と今年では、政策は変わらない。今年目立った変化があるとすれば、一帯一路戦略、混合所有制改革あたりではなかろうか? また、環境関連が一服となっているが、そこも今後持ち直すだろうとみている。