中古アナログレコードを買い漁る40代男性
推し活としてたくさんCDを買う音楽ファンだけでなく、いまなお“モノ”としてのCDやアナログレコードにこだわる音楽ファンもいる。都内の広告代理店に勤務するBさん(40代男性)は、アナログレコード目当てにタワーレコードに足繁く通っているという。
「10代の頃からずっと音楽が好きで、当時からジャンル問わず、有名無名問わずCDやレコードを買い漁っています。最近は、渋谷タワレコのアナログフロアーのレコード棚を何日かかけて隅から隅までチェックしています。新品もあるし、中古盤もたくさんあって、探しているだけで楽しい。レコードの棚を掘り続ける楽しさは、昔から変わりません」
そんなBさんだが、以前はタワーレコードを利用することはあまりなかったという。
「昔は渋谷や新宿に、いろいろなジャンルに特化した小規模のレコード店がたくさんあったんです。マニアックなレコード、レアなレコード、流通数の少ない最新のレコードを手に入れるなら、そういったお店に行くことが多かった。
でも、そういうお店もどんどんなくなっていき、今となってはアナログの中古盤を探すなら、ディスクユニオンか、渋谷のタワレコか、渋谷のHMVか、みたいな感じ。つまり、中小規模のレコード店が減った結果、タワレコで買う機会が増えたという側面もあるんです」
10代からレコードを買い続けているBさんだが、最近は購買意欲が増しつつあるという。
「若い頃はやっぱりお金もあまりなくて、欲しくても買えないレコードがたくさんあった。いまはそういったレコードが中古盤になって、結構安く出回っていたりもするんです。めちゃくちゃマニアックなものに出合えることは減ったけど、若き頃の淡い思い出を呼び戻す感覚で、思わず買ってしまう中古盤は結構ありますね。
正直なところ、楽曲自体はサブスクで聞けるわけで、曲が聞きたいからレコードを買うのではなく、ただただその“現物”が欲しいから買っているだけです。レコード店に行っても自分と同じくらい年代の中年の人ばかりですし、同じような感覚で買い漁っている人も多いと思います」
CDやレコードを購入する層として、推し活に熱心なアイドルファンと中古盤を漁る音楽ファンで二極化されている印象だが、“モノ”にこだわるという点では共通だ。サブスクが当たり前の時代になっても、CDやレコードがすぐに消え去るというわけではなさそうだ。