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ビジネス

【日本製鉄のUSスチール買収、バイデン氏が阻止の最終判断か】「揉めることはわかっていた」という橋本英二会長が語った“成長へのチャレンジ”という信念、「アメリカが魅力的になったのはトランプ政権から」

日本製鉄による買収支持を表明するUSスチール社の従業員(2024年9月。写真/AFP=時事)

日本製鉄による買収支持を表明するUSスチール社の従業員(2024年9月。写真/AFP=時事)

「アメリカを手に入れなくてはいけない」

「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン」と唱えたトランプ氏は、日本車への追加関税をちらつかせるなど海外企業の締め付けに心血を注ぎ、脅威と受け止められていたが、製造業の未来に焦点を絞っていた橋本氏の見方は少し違う。

「これは、製造業をアメリカ国内に取り戻す動きで、時代が変わったなと。“アメリカで売りたければここにきて作れ”ということですよね。つまり高級品主体の鉄の需要が最終消費地のアメリカに戻る流れが始まった」

 それまでアメリカではパソコンや携帯電話などの工業製品は安くて高品質の完成品を中国や日本から輸入することが国益につながるとされてきたが、パラダイム転換が起きた。橋本氏はこう続けた。

「もともとアメリカは出生率も高く、移民で人口も増えていて、軍事や科学技術、資源もある。アメリカファースト、と唱える大統領が登場したわけで、鉄の需要が高まる流れは、今後も大なり小なり続く。だから、新興国のインドに加えてもう1つ、先進国のアメリカを手に入れなくてはいけない、と考えた」

 従来からの国内志向を脱ぎ捨て、海外で勝負に出る姿勢が橋本氏の真骨頂だろう。2019年4月に社長に就任してからは、海外での大勝負に出るために必要な改革も進めてきた。2020年3月期には過去最大の4300億円の最終赤字を計上していたが、2023年3月期は2年連続となる過去最高益を更新。V字回復を果たした。そうして挑んだ巨額買収の夢はもう潰えるのか――。

 現在、「マネーポストWEB」では、橋本会長のインタビュー記事4本を全文公開している。別記事〈【独占インタビュー】日本製鉄・橋本英二会長「USスチールの買収チャレンジは日鉄の社会的使命」、社内の賛否両論を押し切った決断の経緯〉などで、USスチール買収に懸ける思いや海外に打って出て成長を目指すことが必要な理由が語られ、そうした考えを抱く原点でもある貧しかった少年時代の思いまでを明かしている。

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