同じサラリーマンだったはずの人たちが、平均で年収1億円どころか2億円を稼ぎ出す。そんな時代の映し鏡と言える最新データを入手。上場企業の「役員報酬」上位200人をピックアップし、その面々の素顔に迫った──。
押し寄せるグローバル化の波を受け、日本企業でも「賃上げムード」は広がっている。だが、それ以上に社員の給与を決める“会社側”の人が受け取る「役員報酬」は桁違いだ。ジャーナリストの大西康之氏が指摘する。
「グローバル市場では、熾烈な人材獲得競争が繰り広げられています。日本企業が優秀な人材を確保して業績を向上させるには、かつてのような年功序列の報酬体系ではなく、世界基準の報酬体系を否応なく採用しなければならなくなったのです」
役員報酬が1億円以上の場合、企業は有価証券報告書で対象者の個別開示が義務付けられている。本誌・週刊ポストは東京商工リサーチの協力のもと、2023年4月期から2024年3月期までの役員報酬を調査し、上位200人のランキングを作成した。
まず目立つのが、「外国人役員」の多さだ。200人中49人で、全体の約25%を占める。
象徴的なのは、堂々の1位に輝いたセブン&アイ・ホールディングスのジョセフ・マイケル・デピント専務執行役員だ。
「セブン-イレブンの生みの親である鈴木敏文氏の“教え子”として知られる。米セブン-イレブン最高経営責任者(CEO)でもある同氏の報酬総額は77億3200万円。新卒でセブン-イレブン・ジャパンに入社し、出世したはずのセブン&アイ・ホールディングス・井阪隆一社長(127位)の3億4100万円の約25倍と大きく上回り、グローバルな報酬体系の浸透を物語っている」(『経済界』編集局長の関慎夫氏)
2位のソフトバンクグループのレネ・ハース取締役は孫正義会長が社運をかけて投資している英半導体会社アームのCEOだ。
全体3位で日本人1位は23億3900万円のソニーグループ・吉田憲一郎会長。10位にはソニーグループの十時裕樹社長が入っており、日本人役員も海外企業と遜色ない破格の報酬を得るようになっているのだ。