欧州で選挙などの大型イベントが続く中、金市場はどのような展望となるのか。マーケット ストラテジィ インスティチュート代表取締役の亀井幸一郎氏が解説する。
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金市場の動向を考える上で、2017年のキーワードになるのが「連鎖する不確実性」だ。今年の金価格に影響を与える不確実性要因として、米国のトランプ政権の行方、欧州で相次ぐ国政選挙などの政治的要因が最も大きく、年間を通して材料になるだろう。
一方、金融・経済面では、米連邦準備制度理事会(FRB)が2016年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げを決定し、2017年中に3回の利上げシナリオを示している。
基本的に金市場では、米長期金利の上昇と米ドル高は金価格の頭を押さえる要因として常に意識される。このため、足元の金相場は、冒頭で述べた不確実性要因と、米国経済の成長加速期待に伴う利上げ観測との綱引きが拮抗する展開になると考えられる。
不確実性が新たな不確実性を生む連鎖は、トランプ大統領誕生に端を発するといってもよい。