彼が掲げる自国第一主義の流れが欧州に向かう可能性が高まっており、3月のオランダ総選挙、4~5月に予定されるフランス大統領選挙、秋に実施されるドイツの連邦議会(下院)選挙の行方は、金市場を読む上でも目が離せない。
金市場では政治的要因、そこから派生する地政学的リスクなどが価格押し上げの材料になるからだ。
これら欧州の国政選挙の中で、政権交代が起こりそうな可能性を否定できないのがフランス大統領選である。同大統領選は4月23日の第1回投票で首位の候補者の得票が過半数に届かない見込みのため、5月7日に2回目の投票(決選投票)が行なわれる予定だ。
現時点では、反EU(欧州連合)・反グローバル化を唱える極右政党・国民戦線のルペン党首が支持率でトップを走っている。ただし、これまでは、決選投票に残ったとしても他の候補者の支持層が統一されるために、当選は難しいとみられた。
したがって、決選投票では当初は、中道右派の有力候補・フィヨン元首相(サルコジ政権時代の首相)が勝利するものの、ルペン党首の追い上げによる危機感から金市場にマネーが流れ込むというシナリオが想定された。
ところが、フィヨン元首相に妻の給与不正受給疑惑が浮上し、支持率が急低下。無所属のマクロン候補が浮上し、混戦模様となっている。ルペン党首が勝つシナリオも無視できなくなっている。もし当選すれば、市場には想定外の事態となる。
その意味では、フランス大統領選に先立って行なわれるオランダ総選挙も重要なポイントとなる。