もちろん、FRB(連邦準備制度理事会)による利上げはドル高要因ではあるが、市場が予想する3回程度の利上げ程度ではパワー不足だ。ドル高効果が出てくるにしても、年末近くまで時間がかかるだろう。
結論としては、当面の米ドル/円相場は上値が重い展開が続くというのが羊飼いの相場観だ。1月の高値である118円台を超えてくるのは困難で、この水準で上値を抑えられる展開が続きそうだ。
当面のレンジとしては、108円から117円程度の間で推移するのではないだろうか。相場は時に行き過ぎるのでこのレンジを突破することもあるだろうが、一時的な値動きに過ぎないだろう。
羊飼いがこうした考えに傾いたのは、2月3日に発表された1月の米雇用統計直後の為替の値動きが大きく影響している。非農業部門雇用者数は大きく改善したのだが、失業率は悪化しており、良くも悪くもとれる内容だった。
相場というのは「行きたい方向」を持っているもので、その方向に走りだすきっかけを待っている。
強気と弱気、いずれにも解釈できる経済指標の結果は、その方向を判断するのに最適な指標だ。このときは、瞬間的な上昇は見せたもののすぐに下落に転じ、発表前から続いていたドル売りの流れを継続させただけだった。
【PROFILE】「羊飼いのFX(外国為替)ブログ」(http://fxforex.seesaa.net/)が人気のカリスマトレーダー。2001年からFXを開始。「羊飼い」の由来は、高金利の豪ドル(通称・羊)を買って優雅に暮らそうと考えたことから。著書に『超ど素人が極めるFX』など。
※マネーポスト2017年春号