投資情報会社・フィスコが12月30日~1月10日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週・来週のドル円は底堅い値動きか。米連邦準備制度理事会(FRB)による追加緩和後退を受け、米金利高・ドル高基調は継続。また、日本銀行の追加利上げは2025年3月以降になるとみられており、日米金利差を意識してリスク選好的な米ドル買い・円売りがただちに縮小する可能性は低いとみられる。直近の米PCEコア価格指数はインフレ再加速の一服を示したが、今月17-18日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)ではハト派色を弱めた。1月8日公表のFOMC議事要旨でそれが明らかになれば金利高・ドル高基調を強める要因となりそうだ。
足元で発表された米経済指標は強弱まちまちながら、年明けの12月ISM製造業景況指数と12月ISM非製造業景況指数が改善すれば景況感の回復を好感したドル買いも見込まれる。ただ、年末年始を挟み、1月20日就任のトランプ次期大統領による政策方針や人事が注目され、ドルは買いづらい面もある。ウクライナ戦争や中東の緊張につながる次期政権のスタンスが警戒されれば過度なドル買いは後退するとみられる。
一方、日本銀行は今月開催の金融政策決定会合で金融政策の維持を決めた。11月消費者物価指数(CPI)コア指数はやや強い内容となったが、植田日銀総裁は引き締めに慎重な姿勢を崩さず、円売りが弱まる状況ではないようだ。ただ、円安進行を懸念して日本の通貨当局(財務省)は円安牽制を強める可能性がある。状況次第では為替介入が実施される可能性もあるので注意したい。
【米・12月ISM製造業景況指数】(1月3日発表予定)
1月3日発表の12月ISM製造業景況指数は48.8と、節目の50を下回る見通し。ただ、前月の48.4からやや改善が期待され、ソフトランディング期待ならドル買い要因。
【米・12月雇用統計】(1月10日発表予定)
1月10日発表の米12月雇用統計で非農業部門雇用者数は11月実績を下回る可能性が高いものの、市場予想とおおむね一致すればドル買い材料になる可能性がある。