生活を豊かにするひとつの手段として注目を集める投資だが、「投資で得られるのはお金だけではありません」というのは億り人投資家のおけいどん(桶井道)氏。20代の会社員時代、投資の勉強をしていたおかげで、キャリアアップにつながった経験があるという。
投資が仕事にどう活きるのか? おけいどん氏の新刊『普通の人のための投資: いちばん手軽で怖くない「ゆとり投資」入門』(東洋経済新報社)より一部抜粋・再構成、その実体験を紹介する。
「鈍くさい」サラリーマンだった私を投資が救ってくれた
実は投資には、別の恩恵もあります。投資と真剣に向き合うことで、ビジネスパーソンとしても成長することができるのです。
私の実体験をお話ししましょう。
そもそも私は、人より勉強ができるわけでも、運動神経がいいわけでもなく、いわゆる凡人として生活してきました。小・中・高校生のころは身体が弱く、年間欠席数が2桁は当たり前でした。高校の授業では、よく居眠りをしていました。
大学には進学できましたが、だからといって何かが大きく変わるわけでもありません。本当に「平凡」という言葉がしっくりくる学生で、人に誇れるような特技はありませんでしたし、バリバリお金を稼げる企業に内定をもらえる可能性も、残念ながらまったくありませんでした。
そんな私ですが、なんとかある会社に潜り込むことができました。もちろん、給料は安かったです。
社会人1年目の私は、本当に冴えないサラリーマンでした。鈍くさいし、仕事の覚えは悪いし、覚えたところで仕事が遅いし、目立った営業成績を上げるわけでもないのに口だけは達者。振り返ると、相当イケてなかったと思います。
年間予算、半期予算、月予算、そして前年対比……毎日が「数字」との戦いで、社会人になって早々に自信を失いました。
不安から空回りしてしまうことも多く、これから会社で通用するのか、やがて部下を持つようになったらちゃんとマネジメントできるのか、60歳定年までやっていけるのか……と、まったく先の見えないサラリーマンだったのです。
ちなみに、桶井道(おけいどん)というペンネームは、「鈍くさい」の「どん」から名付けました。自分を卑下したいわけではないものの、そう名付けるのがぴったりな人間だったのです。