新NISA(少額投資非課税制度)がスタートしてから1年。長期で資産形成を目指す「つみたて投資枠」に目を向けると、2024年1~9月の新規買い付け額は約3.5兆円にのぼった。多くの投資家から人気を集める「長期の積立投資」だが、どういったメリットがあるのだろうか。
新刊『普通の人のための投資: いちばん手軽で怖くない「ゆとり投資」入門』(東洋経済新報社)が話題の億り人投資家・おけいどん(桶井道)氏も「『長期・分散・積立』の投資方法を投資未経験者やビギナーは絶対に知っておくべき基礎」と考える。長期投資でコツコツと資産を増やし億り人となったおけいどん氏が、そのメリットについて解説する(同書より一部抜粋して再構成)。
目次
【1】長期
投資のセオリーとして、まずあげられるのが「長期」です。
投資には複利の効果が発生するため、基本的には投資期間が長ければ長いほどメリットを享受することができるでしょう。
●世界経済は「長期」ではずっと成長してきた
歴史を振り返ると、過去30年の間に、アジア通貨危機、ITバブル崩壊、リーマン・ショック、チャイナ・ショック、コロナ・ショックなど、世界経済を揺るがす「ショック」が何度も発生しました。
しかし、世界の株式市場は時間をかけてそのマイナスを取り返し、むしろ大きく成長しています。高値を更新しています。
世界単位で見れば、経済は短期的なアップダウンを経験しながらも、長期的には成長を続けてきたのです。
その根拠をわかりやすく示しましょう。
世界の人口は増えます
→モノやサービスの需要が増えます
→企業は増える需要に対応して供給を増やします
→企業は利益が増えます
→株価は企業の儲けに連動するので、株価は上がります
もしくは、こんなふうに説明することもできます。
人間は常に便利なものを求めます
→それを可能にするためイノベーションが起こります
→新しい需要が出てきます(いまなら生成AI、少し前だとスマートフォン)
→それを供給する企業は儲かります
→企業は大きくなりますので、株価は上がります
投資家のなかには、「ショック」をきっかけに株式を手放した人も多くいます。
しかし、そこで我慢して、株式を保有し続けた投資家たちの多くは、資産運用を「長期的に続ける」ことで、しっかりとその恩恵を受けているのです。
●長期投資は「リバウンド力」の恩恵を受けられる
もっと言うと、実は「ショック」のときに追加投資できる人が強いのです。株価が元に戻ろうとするリバウンド力を味方にすることで、資産を伸ばすことができたのです。
仮に、暴落で株価が20%下落したとします。株価が同じ位置に戻るためには25%上昇することが必要です。この力を取り込むのです(もちろん、優良銘柄であることが前提です)。ここで逃げれば、資産は20%下落したまま。「投資は危険、損する!」となるわけです。
投資をするのであれば、年月を味方につけてください。歴史を振り返りますと、暴落ですら味方につけることで、ピンチをチャンスに変えられる可能性が高いのです。