“1月20日の就任時に100件出す”と豪語するトランプ氏の大統領令の1つに、中止命令をひっくり返す判断を入れ込む可能性はあるのだ。
もちろん、課題は多い。ディールである以上、次期大統領が手柄として誇示できるような“お土産”を要求してくる可能性もある。
第1次政権発足直前の2017年1月、トヨタの豊田章男社長(当時)は100億ドルというアメリカへの巨額投資を発表したが、メキシコで準備中だった新工場建設についてトランプ氏から「あり得ない!」と批判された背景があった。
すでに多額の約束をしてきた日鉄にそうした追加の提示ができるか、労働者のメリットを明確にできるか、問われることにもなる。
■後編記事:【USスチール買収問題】クリフスCEOらを相手にした民事訴訟が日本製鉄にとっての打開の道に 政・業・労の“深過ぎる関係”が示されれば世論も変わる可能性
【プロフィール】
広野真嗣(ひろの・しんじ)/ノンフィクション作家。神戸新聞記者、猪瀬直樹事務所スタッフを経て、フリーに。2017年、『消された信仰』(小学館文庫)で小学館ノンフィクション大賞受賞。近著に『奔流 コロナ「専門家」はなぜ消されたのか』(講談社)。
※週刊ポスト2025年1月31日号