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キャリア

早稲田大学が大躍進、文系学部入試での「数学の必須化」がもたらした“絶大な効果” 受験偏差値だけでなく人生においても「慶應に圧勝」してしまう可能性

数学能力の高さが職業的成功につながるデータ

 数学能力の高さは、職業的成功と密接に関連している。「数学的能力と人生の成功」(2016年)によると、数学が得意だと、論理的思考力や問題解決能力、データ分析力が優れているため、これらの能力が求められる分野で成果を上げやすい。

 アメリカのヴァンダービルト大学が、数学的推論能力が上位1%に入る若者を対象に長期追跡調査を実施したところ、多くの分野で顕著な成功が確認された。研究分野では4.1%が主要大学で終身在職権を取得し、7572本の論文を発表している。企業経営分野では2.3%がフォーチュン500企業でトップエグゼクティブとして活躍し、法律分野では2.4%が主要法律事務所で活躍している。対象者は3億5800万ドルの研究助成金を獲得し、681件の特許を取得している。数学的能力の高さは、個人の職業的成功だけでなく、経済や研究分野にも大きな影響を与えることが明らかである。

 他にも、基本的な数学のスキルを持っていると、日常生活の解決スキルが27~31%向上するというデータもある(“Mathematics Skills and Everyday Problem Solving”「数学スキルと日常的な問題解決」ノースフロリダ大学、2007年)。暗記に頼らず、数学的な概念を深く理解し応用する力が、実践的な場面での問題解決には欠かせない。

 最後に、大学情報誌「大学ランキング2025」(朝日新聞出版)で、偏差値を確認してみよう。

 早稲田とライバル慶應の偏差値を比較すると、学部ごとに特徴が異なる。社会科学系では早稲田政経、法、商が67.5で慶應法と同水準であるが、慶應経済と商は65.0に位置する。人文科学系では早稲田文と文化構想が67.5と高く、慶應文の62.5を上回る。生活科学では慶應総合政策が67.5で最も高く、早稲田人間科学は65.0である。理工学系では早稲田基幹理工が67.5で最上位であり、早稲田先進理工や慶應理工は65.0で同等である。医療系では慶應医が72.5で突出している(早稲田は医学部がない)。

 学部によって優位性が異なり、分野ごとに特色が際立つが、早稲田にはない医学部を除いたところで、慶應と偏差値を比較すると、早稲田は全体的に同等か、それ以上に位置しているというのが実態だ。今年の受験偏差値においても、人生においても、慶應を完全に抜き去り、早稲田が圧勝してしまう可能性がある。

【プロフィール】
小倉健一(おぐら・けんいち)/イトモス研究所所長。1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。国会議員秘書を経てプレジデント社へ入社、プレジデント編集部配属。経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長就任(2020年1月)。2021年7月に独立して現職。

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