煮物は「コンビニで買う」
野菜の価格を気にする東京都在住のMさん(30代女性)も「煮物は作らない」。少量が作りづらいことを指摘する。
「煮物って、作ろうとすれば基本的に大量にできてしまって、一人で一日では食べ切れない。私は会社帰りに同僚や友人とご飯を食べて帰ることもよくあり、そうなると作り置きが無駄になりがち。かといって何日も同じ煮物を食べるのは飽きるので、作りません」
そんなMさんが最近ハマっているのは、「コンビニの少量パックの煮物」だという。
「コンビニのパック惣菜で、一人用の肉じゃがや筑前煮なんかがあるんです。レンジであたためるだけですぐ食べられて、便利ですよ。メインは自分でつくるという時の副菜としても重宝しています。煮物は買うのがいちばんです」(Mさん)
メインディッシュになりづらい
埼玉県在住のIさん(40代女性)は子供が2人いる4人家族。「野菜がメインの煮物は、子供たちのメインディッシュになりづらい」と語る。
「いわゆるおふくろの味の煮物って、ご飯、みそ汁、そして主菜があったうえで、副菜としてあるもののイメージです。そういう煮物って、家族何人か分の料理をつくる前提で、かつ調理に時間をかけられた時代だからこそ定番化した料理なんじゃないかな」
「煮物自体は嫌いではない」というIさんが、煮物を食べるシーンは「小料理屋さんか、惣菜」だという。
「本当は時間をかけて、煮物をゆっくり作る生活に憧れます。一時、圧力鍋や保温調理鍋など、時短につながる調理器具を買って煮物を作るのもいいなと思ったことはあるのですが、狭いキッチンに大きな調理器具を増やしたくないのも現実で……。」(Iさん)
かつて煮物といえば家庭の味だったが、いまや買うもの、外で食べるものになってきているのか……。“煮物離れ”が進む現状は日本人のライフタイルの変化を映し出しているようだ。