しじみ汁のしじみの身、刺身のつま、鮭の皮、パセリ──。外食時に、食べるかどうか意見が分かれるものは意外にある。食べるのが当たり前だと思っていて、人前で食べたら驚かれたというエピソードを持つ人も少なくないようだ。実際にそういった体験した人たちの話をもとに、食べる派・食べない派で意見が分かれる食べ物を探ってみた。
「えー? 身を食べる人っているんだ!?」
商社に勤務する20代女性・Aさんは、デート中にとんかつ屋さんに行った時のこと。しじみ汁のじしみの「身」を食べていると、彼に驚かれたという。
「彼が食べる手を止めて、まじまじと私を見ているなと思ったら、『えー? 身を食べる人っているんだ!?』と目を丸くされました。私にとってはごく自然なことだったので、『え? 食べるものなんじゃないの!?』と、逆にこっちが驚いてしまい、なんだかめちゃくちゃ恥ずかしくなりました」(Aさん)
Aさんの家は、「食べ物は残さない」という教育方針で、しじみの身も当然、食べるものだと思っていた。それだけに「食べない」という発想はなかったという。
「ただ、確かに、量が多いと食べきるのに時間がかかりますし、身が小さいと食べるのが面倒にはなります。食べた後の殻はお椀に戻すことになるので、どれがまだ食べていないのか、かき混ぜる羽目にもなります。でも、最初からその存在を無視して『食べない』という選択肢があるなんて……。彼に指摘されて、そんな考え方があるんだ、と思いました」(Aさん)
Aさんは、彼に「食べない」理由を尋ねてみた。彼の主張を整理すると、次のようなものだった。
彼にとって、しじみの身はあくまで“ダシ”で、「食べる」ものではない。ちなみに、しじみは食べないが、あさりは食べる。食べる・食べないの基準としては、食べやすいかどうかも大きく関わっており、「小さいしじみをちまちま食べるのは、箸だと大変だし、だからといって手で食べるのは汚いし、面倒」──という理屈だった。
その後Aさんは、「誰かと外食に行って、しじみ汁がついてきた場合、いったん相手の出方を見ます」と慎重派に転向したようだ。