嫌がらせをする上司にどう対応すべきか(イラスト/大野文彰)
社会的な問題のひとつにもなっている、職場でのパワハラ。気に入らない部下を次々と仲間外れにするような上司に対して、どのような方法で対抗すればいいのだろうか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
娘はチェーン展開している美容室でパートをしています。店長は気に入らない人がいるとほかの社員に悪口を言いふらし、その人を仲間外れにします。ターゲットは店長の気分で変わるのですが、いまは娘が仲間外れです。ほかの社員は店長が怖くて言いなりに。それで辞めていく人が何人もいたそうですが、店長を訴えることはできますか。(千葉県・66才・主婦)
【回答】
パワハラについては、労働施策総合推進法が事業主に対し、「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう」に、従業員の啓発や相談窓口の設置などの施策を義務づけています。
禁じられているパワハラは、
【1】優越的な関係を背景とした言動
【2】業務上必要かつ相当な範囲を超えている
【3】 【1】、【2】の結果、労働者の就業環境が害される
以上、3要件が備わっている行為です。
娘さんの場合、店長はパート従業員に対して優越的な関係にあるのが一般的ですし、店長の言動が原因で辞めていった人もいて、社員たちは店長を恐れているという事態は職場の就労環境を悪くしているといえますから、【1】と【3】の要件は充足します。