その大連立に向けて裏で動いているのが財務省だ。元財務官僚の高橋洋一・嘉悦大学教授が語る。
「石破さんが総理を続けるためには野党と手を組むしかない。いきなり大連立というより、まずは“大連携”でしょうが、それには大義名分がいる。そこに財務省から『社会保障改革をやりましょう』という囁きが入る。与野党とも社会保障改革が必要だという点では異論がないから、連携に向けた大義名分になる。野田政権時代に民主、自民、公明は3党合意で社会保障と税の一体改革を決めた。あれをもう一度やろうというわけです。
財務省としては社会保障をキーワードに自公と立憲に手を組ませ、それをテコに社会保障財源を名目にさらなる消費増税を行なおうというシナリオです。次は消費税率15%が目標でしょう」
今年は5年に一度の年金制度改正の年。石破首相は社会保障費支出の伸び抑制を指示し、1月6日の伊勢神宮参拝後の会見で「野党にもこれまで以上に責任を共有してもらうことが求められる」と建設的な協議を呼びかけたが、増大する医療費や年金の財源は「歳出改革では限界」(厚労省関係者)というのが実情だ。さらに2026年度には子ども・子育て支援金もスタートする。
財務省にとって社会保障改革の議論で増税に導くには絶好のタイミングでもある。
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※週刊ポスト2025年2月7日号