華麗なプレースタイルに魅せられて
スポーツファンであれば、プレーに唸ってファンになるのは王道だ。Sさん(40代/男性)は東京出身だが、高校サッカーでは静岡県のチーム、中でも静岡学園のファンだという。
「毎年、冬の高校サッカーを楽しみにしていますが、サッカー王国・静岡のチームはいつ見ても面白い試合をします。中でも応援しているのが静岡学園。何年か前に静学の試合を見て、華麗なプレースタイルに魅せられ、それ以来、静学の試合は可能な限り見に行くようにしています」
分かりやすいのは、好きなスポーツ選手や有名人の出身校を応援するパターンだ。
「2006年のハンカチ王子ブーム以来、早稲田実業の大ファンです」(50代/女性)
「好きな俳優の出身校が甲子園の強豪校というだけで、縁もゆかりもない都内の高校の野球部を熱心に応援しています」(20代/女性)
「学生時代、ラグビーの試合を見に行ってある選手の大ファンになり、それ以来、慶應のラグビー部をずっと応援しています」(50代/女性)
OB・OGではないからこそ引いている一線
共通する悩みもあるようだ。前出の国学院大の駅伝ファンのFさんは言う。
「確かに国学院を応援していますが、グッズを買うのは抵抗があって……。例えば友人や知人に見られたら、当然『国学院出身ですか?』って聞かれるじゃないですか。説明するのは面倒臭いですし、“学歴詐称”みたいに思われるのも嫌で……」
仙台育英高の野球ファンのIさんも、物足りない瞬間はあるという。
「試合を見に行っても、関係者ではないので、疎外感を感じる瞬間はあります。本当はユニフォームを買って応援したいぐらいなんですが、もし手に入ったとしても着ることはないでしょうね。やっぱり母校じゃないんで」
慶應ラグビー部ファンの女性も一線を引いているという。
「自分の中では、応援で旗を使うのはOKですが、スクールカラーのタイガージャージ(黒と黄色)のグッズを身に付けるのはNGです。そこはやっぱり在校生かOB・OGだけの特権だろうと」
一番大事なのは応援する気持ちだろうが、そのあたりの微妙な感情はプロスポーツと学生スポーツの違いかもしれない。