イーロン・マスク氏の複雑な心境
それは事実上の側近であるマスク氏も同様だが、マスク氏への取材経験がある大西氏はこう見ている。
「マスク氏にとって今の政権での地位は“一回やってみたかった”くらいのもので、しがみつくほどではない。トランプ氏もマスク氏も互いに“気に入らなければいつでも切ってやる”と思っているのではないか」
とはいえ、トランプ氏から“寵愛”を受ける孫氏に対して、マスク氏は複雑な心境のようだ。
ホワイトハウスの会見で、孫氏は「米国の黄金時代の幕開けです。あなたが(大統領選に)勝たなければ投資を決断できなかった」などと語り、トランプ氏を持ち上げた。
「“俺が米国を黄金時代にする”“トランプのパートナーは俺だ”と思っているマスク氏からすると“後からやってきた孫正義が何を偉そうなこと言ってるんだ”という感じでしょう。AI開発をめぐっても、孫&アルトマン陣営とは考え方が根本的に異なるので、マスク氏には“早く孫正義を潰しておかないと自分たちの利権が食い荒らされる”という危機感もあるはずです」(浜田氏)
孫氏とマスク氏が火花を散らすトランプ新政権のAI計画の行方を、世界が注視している。関連記事《【好機到来のAI関連銘柄10選】トランプ政権肝煎りの「AI開発巨額投資」で上昇期待の日本株、ディープシーク登場の混迷も市場の盛り上がりにつながる》では、ソフトバンクGも含めた「AIブーム2.0」で上昇期待の日本株10銘柄も紹介している。
※週刊ポスト2025年2月14・21日号