中国の国会に相当する全人代が5日、始まった。初日に行われた政府活動報告を見る限り、国務院は経済拡大を目指すのではなく、むしろ無駄な拡大がおきないよう金融リスクをコントロールし、構造改革を推し進め、経済の質を高める方針である。
今年の秋の共産党大会での人事に関連付けて中国は経済成長を促すのではないかといった見方もあるようだが、国務院が気にしているのは大きく成長率が落ちることであり、成長率を高めて現政権の信頼度を高めようなどとは思っていないようだ。
具体的な目標を見ると、それは明らかである。
今年の成長率目標については6.5%前後としている。前年の6.5~7%といった目標と比べると、低い水準である。
経済を成長させる最大の目的は、失業率を低く保ち、完全雇用を保証することである。
2017年の都市部新規就業目標について1000万人から1100万人に引き上げているが、経済規模が年々大きくなっているので6.5%も成長させる必要などない。
第十三次五カ年(十三五)計画において、2020年の国内総生産、都市・農村住民の平均収入を2010年の倍に引き上げるとしている。この点について、習近平主席は、自らが十三五計画を解説した文章において、「実績を踏まえて計算すると十三五期間中の実質経済成長率は6.5%以上必要である」と明言している。6.5%成長は十三五計画に縛られているからである。