野田佳彦代表と財務省の関係が深いのはなぜか(勝栄二郎氏=左と新川浩嗣氏。時事通信フォト)
来年度予算で国民民主党が求める減税政策がどこまで採用されるかに注目が集まっているが、それに後ろ向きなのは自民党だけではなかった。自民に対抗するはずの野党第一党・立憲民主党の野田佳彦代表が“減税反対”の姿勢を明確にすると、そこにアプローチを仕掛けているのが、“減税つぶし”を画策する財務省だという。そして、野田氏が財務省の走狗〈エージェント〉になっているとの疑惑が浮上しているのだ。【全3回の第2回】
野田氏と財務省の深い関係
「使い勝手佳彦さん」──元財務官僚の高橋洋一・嘉悦大学教授によると、財務省内では立憲民主党・野田代表のことをそう呼んでいるという。
「野田さんは財政の素人だったから、財務大臣や総理時代に増大する社会保障費の財源として消費税増税が必要といった考え方を財務官僚から刷り込まれ、今や本人の信念になっている。財務官僚にすればことさらレクチャーしなくても自分たちと同じ考えで動いてくれる使い勝手のいい政治家なわけです」
野田氏の政治キャリアを見ると、財務省との関係が深い理由がわかる。
最初に政府の役職に就いたのは鳩山内閣の財務副大臣、次の菅直人内閣で財務大臣に昇格すると、翌年(2011年)に首相に就任した。
「国対族だった野田さんは、行政経験が財務省の副大臣と大臣しかない。他の役所を知らないわけです。しかも、財務大臣を1年やっただけの野田さんを総理に押し上げたバックに財務省がいた。当時から野田さんは財務官僚をとても信頼し、頼ってきた」(立憲民主党ベテラン議員)
当時の財務事務次官が“ミスター消費税”と呼ばれた勝栄二郎氏だ。野田氏は財政政策について勝氏ら幹部のいわば“教え”を受けてきたのだ。
その“教育の成果”は消費税増税だけではない。
財務大臣時代に東日本大震災が発生すると、野田氏は「なるべく国債には手を出さない」として震災復興財源は財政悪化を招く国債発行ではなく増税路線を取り、首相になると復興財源確保法を成立させて所得税・住民税・法人税に上乗せする復興増税を行なった。