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ビジネス

【日産&ホンダ統合破談で協業どうなる】ホンダが狙っていたのは日産が保有する三菱自動車株だったのか【統合協議内幕】

 こうした戦略の下、実はホンダは、日産が保有する三菱自動車株の取得を狙っていたと見られる。

「ホンダは自動車に影響力がある三菱商事に接近。2023年にEVの電池のリースや再生、充電ビジネスで商事と提携したのも自動車との資本提携を見据えてのことではないか」

 そう見る業界関係者もいた。前述のようにホンダと日産が計画している共同持ち株会社の傘下に三菱自動車が入ることは考えにくい。ただ、日産と三菱は資本提携を結んだ際に10年を機に関係を見直すことができる契約になっているとされる。その“期限”が来年(2026年)に迫っている。

 その際に三菱は、日産が保有する27%分を買い戻すなどして一旦、日産との関係を解消するかもしれない。経営状態が悪化しておりキャッシュが欲しい日産は三菱株を売れば1700億円程度を得られる。

 その後は、三菱が共同持ち株会社から20%程度出資を受ける形などが想定される。その持ち株会社は、社長と取締役の過半数はホンダが指名し、「ホンダ主導の会社」になる予定のため、ホンダは三菱に対する影響力で日産よりも優位に立てる。三菱の動き次第では両社の統合の形に影響を及ぼしかねない。

 自動車の経営は持ち株会社と商事が相談しながら進めることになるのではないか。もしそうなれば、「3社連合」の新しい形ができるだろう。

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 現在、マネーポストWEBでは、関連記事《【全文公開】日産&ホンダ統合を左右する「三菱自動車株」問題 日産の持つ27%の三菱株の行方は…ホンダが引き受ければ新たな「3社連合」の形へ》にて、井上久男氏によるレポートの全文を公開している。

【プロフィール】
井上久男(いのうえ・ひさお)/1964年生まれ。ジャーナリスト。大手電機メーカー勤務を経て、朝日新聞社に入社。経済部記者として自動車や電機産業を担当。2004年に独立、フリージャーナリストに。主な著書に『日産vs.ゴーン 支配と暗闘の20年』などがある。

※週刊ポスト2025年2月14・21日号

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