共和党の財政タカ派がトランプ案を拒否
しかし、外国人投資家は、トランプ減税がそのまま実現されるとは考えていない。
例えば、米国企業の収益を大きく押し上げ、海外に逃避したグローバル企業の米国回帰の切り札になると期待されている、現行35%の法人税の15%への引き下げについても、共和党の財政政策における“タカ派”の反対で修正が余儀なくされるとみている。
15%への大幅引き下げは、財政赤字の膨張につながるとして、すでに、米議会の下院議長を務める共和党の最大実力者の一人であるポール・ライアンから修正案が出されている。
伝統的に「小さな政府」を志向する共和党は、すでに、2016年に総額2兆ドルのおよぶ減税案を党としてまとめている。その中には、法人税の20%への引き下げ案も盛り込まれている。
したがって、トランプ減税は、共和党の減税案にどのくらい減税額を上積みできるかという部分がかなりある。
そして、現在、トランプ政権の経済政策の司令塔である米国家経済会議委員長に就任予定のゲーリー・コーン(元ゴールドマン・サックス社長兼最高執行責任者)が、共和党の財政タカ派議員と減税幅を巡って交渉している模様だが、交渉は難航しており、共和党の減税幅2兆ドルを突き崩すのは最終的に困難と予想されている。