日本老年学会と日本老年医学会が、65歳以上とされていた高齢者の定義を75歳に引き上げようという提言を提出。それに伴い、公的年金の70歳開始もが現実味を帯び始めてきた。そうした中で老後資金を準備するためにはどうすればよいのか? 経済アナリストの森永卓郎氏が解説する。
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生活に困らない程度の資産構築に向けて、できる限り「知らなきゃ損する制度」を活用すべきです。まず、60歳以上の人は加入できないというネックはありますが、59歳以下の世代の人には個人型確定拠出年金(iDeCo)が一押しです。
加入者自らが毎月の掛金の金額と投資する金融商品を決め、運用後に掛金と運用収益の合計額をもとに年金給付額が決まる年金制度です。
その最大の特徴は、税制面のメリットが非常に大きいことです。まずは掛金の全額が所得控除の対象になり、それにより所得税や住民税を軽減できる。
例えば、年収500万で所得税と住民税の税率がともに10%という人の場合、合わせた20%分が軽減されることになる。いわば、「20%の利回り」を先取りできる金融商品なのです。