投資家にとって損切りは避けては通れない道だ
上がると思って買った株が買った価格よりも下がってしまうといった経験は、投資家なら誰にでもあるだろう。そのまま下落を続けて、手放すタイミングを逃し、「塩漬け株」になってしまう、というのもよくあること。そこで考える必要があるのが、損切りだ。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第130回は、「損切り」について。
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上がると思って買った株式が、買った価格よりも下がってしまうといった経験は、投資家なら誰にでもあるはずです。自分が想定した以上に下落したときは、さっさと手放すべきですが、それがなかなかできない人も多いでしょう。
なぜ損切りが重要か
“損切り”とは、買ったときよりも株価が下落して含み損が出ている株を売却し、損失を確定させることです。売却しなければ、ふたたび上がる可能性もゼロではないため、投資家の多くが損切りをためらいます。しかし、今後も投資を続けるためにも、また大切な資産を守るためにも、損切りは非常に重要です。
わたしは、株を買う時点で、損切りラインを決めておき、そのラインを割ったら売ることを徹底しています。そのおかげで、何度も大きな損失を避けることができ、今も投資家であり続けています。
ひとつ事例を紹介しましょう。
生命保険の乗り合い代理店を運営するFPパートナー(7388)の株を、2024年の6月5日に4250円で購入、その後6月11日には4780円まで上昇し、よしよしとほくそ笑んでいたところ、一部週刊誌に、保険会社から営業社員の採用支援と斡旋の便宜を受け、その見返りに保険商品を優先的に取り扱っていたと報道され、翌日の6月12日はストップ安に。
わたしは、25日移動平均線を割ったら損切りするというマイルールを作っていましたので、その翌日には成り行きで売りました。4250円で買って、3550円で売却したので、▲17%の大きな損失です。しかし、もしそこで損切りしていなければ、2月13日現在の株価は2250円なので、買った金額のおよそ半額! 株価を見るたび損切りしてよかったとつくづく思います。
もちろんそのままホールドしていれば、いつか株価は買った位置まで戻るかもしれません。しかし、そこまでに1年、2年、さらには10年もかかってしまったら、その間、この銘柄に投資しているお金は死んでいるも同然です。時間も費用と考えれば、早めに損切りして、そのお金で上がる株を買い直したほうが断然スマートな投資家と言えるでしょう。