志望校には落ちたが大学生活は楽しかった
岐阜県出身のDさん(20代男性)も田舎の閉塞的な環境が嫌になったことを明かすが、その理由は「人間関係」だという。「閉じた人間関係をリセットしたい」がために進学を選んだ。親からは「絶対に後悔する」、「県内で進学しなさい」などと言われたが、それを振り切って都内へ出た時のことを振り返る。
「外に出るだけで噂されて、『土曜日○○に行ってたよね』なんて言われる日々に疲れました。同級生が高校の先輩と付き合って妊娠したらしいなんて話がすぐに耳に入ってくるし、『○○君がどこで働き始めた』なんて興味もありません。田舎の高校生だと、身近で普通の話題なんですが、自由さがないことを常々感じていました。こんな閉塞的な人間関係は一度リセットしたいし、それを正当化するなら大学進学が親を説得させやすかったんです」(Dさん)
親からは反対されたが、それでも説得を続けた。
「『家賃も高いし誰が金を払うんだ』なんて言われたので、奨学金を借りて全部自分で払うと伝え、絶対に出ていくことは諦めませんでした。志望校には落ちて、偏差値的には正直大した大学には入れませんでしたが、それでも楽しい大学生活を送れたと思っています。大学を卒業した後も都内で働いていますが、今は手取り23万円で、言われているほど生活は苦しくありません。
田舎の人は東京の生活は大変だと必ずいいますが、就職先の選択肢が少ないし、賃金も安い田舎のほうが僕にとっては大変。実家周辺の暮らしだと手取り14万円くらいの働き口しかありませんからね」(Dさん)
地方特有の悩みがある限り、東京を目指す若者がいなくなることはないのかもしれない。