「自分の勘と成功体験には頼らない」
そうした「連想」を投資に活かしていくことは一朝一夕ではできない。ただ過去の取引履歴を逐一ノートに書き込み、新聞記事を切り抜いて貼るなどしてコツコツと知識を積み重ねることで、「ある日、パッと思いついたりするんや」と説く。自動車関連ではこの話題にも触れた。
「ホンダと日産自動車が破談したからといって日産を見限るのは早計。過去にニデックが工作機械メーカーのTAKISAWAをTOB(株式公開買い付け)で買収する際、高値の買い付け価格だったため、TAKISAWA株が急騰。私も先回りして仕込んでいたのでだいぶ儲けました。日産のように不安要素がある銘柄でも将来的に高値で買い取ってもらうことを狙って、安値で仕込んでおく手もあるわけです」
そうした積み重ねで“億り人”となったシゲルさんだが、「自分の勘と成功体験には頼らない」と語る。
「株は人気投票なので、自分の思い込みではなく“誰がどう判断するか”を冷静に見ないとあかん。チャートや各種指標で確認するのはもちろん、外国人投資家が日本企業をどう評価しているかも知っておく必要があるわけです。そのために、米国市場で売買される『ADR(米国預託証券)』で日本企業の値動きを確認することも株価の方向性を判断するうえで重視しています」
89歳に近づくシゲルさん。今日もまた、ノートに取引の反省を記録しているはずだ。
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※週刊ポスト2025年2月28日・3月7日号