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「証拠はない。けど間違いない」オバ記者がかつて受けた性被害体験を告白「すぐに反撃に出た自分を“よくやった”とほめたい」、加害者に会いに行き、吐き捨てた一言

これ以上ない低い声で「ざけんな、バカ」

「……ずいぶん……飲みましたね」

 診察室に入ると、医師は私の顔をちらっと見たきり、前の壁を見たまま動かない。やっと口を開いて言ったのがこの言葉だ。薬をのまされたかどうかはわからないけれど──私が意識をなくしたところでガードルを脱がされた。そしてその証拠を残さないように、2人で乗ったタクシーを降りて、別々のタクシーに乗り換えさせられたところで目が覚めた、と私は読んだ。けど証拠はない。が、自分の職場に現れた私と目を合わせないのが何よりの証拠だと思った。まったく、どんなマニアだ。

 5分、10分。ダンマリ合戦が続いた。異変に気づいた看護師がのぞきに来た。「さぁてと。帰ろうかな」と明るく立ち上がった私は、これ以上ない低い声で「ざけんな、バカ」と吐き捨てた。前の壁を見て彫刻のように固まっていた医師の首がカクンと下がったのを見てから、私は診察室を出た。

 医師はその後、マスコミに登場することがなくなり、いつしか私も忘れた。そして今回の中居騒動で思い出した。恥多き人生を送ってきた私だけど、被害の後ですぐに反撃に出たことは、「よくやった」といま自分で自分をほめている。

【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。

※女性セブン2025年3月6日号

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