性被害を受けた人の思いとは(イメージ)
絶対にあってはならない性加害。そういった事例を告発できるようになったのは、世の中がよい方向に変わってきた証拠かもしれない。体験取材を得意とする女性セブンの名物ライター“オバ記者”こと野原広子さんが、過去の自身の経験を振り返る。
取材を終えて帰ろうとすると…
「思い出したくもないッ!」と吐き捨てるようなことの一つや二つ、長いこと生きていると誰しもあると私は思っている。いま問題になっている「性接待」や「上納」など、性被害の暴露がいつまでも止まらないのは、似たような被害を受けた、または危機一髪で逃げた女性がそれだけいるからではないのか。
かくいう私の話。ライターとしてデビューしたのは22才のとき。私と同世代女性による「セックス告白」を男性週刊誌で連載した、というところからして危険がいっぱいのようだけど、実際は何事もなく、連載は6年続いた。20才のときに通ったマスコミ専門学校で私が選んだゼミが「人と動物の性行動の研究」で、そこで学んだことが大いに役立ったのよ。
口の中が苦くなることが実際に起き出したのは、24才で本誌・女性セブンのライターになってからだ。「陰毛占いをしている」という初老の男性を取材するため、下町の小さな木造の家に伺ったの。男性は、最初は堅い口調でもっともらしい見解を述べていたけど、話が尽きると「あんたも見せてくれたら占ってやるよ」と急にぞんざいになった。
即座に「結構です」と断ったら、「おれは顔相も見るんだけど、あんた、子供を産んだら障害のある子ができるね」ときた。陰毛を見せなかった腹いせとわかっても気分がいいものではない。